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第4回

未来デザインとは、枠を飛び越えること

蟹江 憲史さん(Team Imagine所属)慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授

収録日:2019.03.06

私は2003年から2015年までの12年間、東工大の大学院で国際関係論を教えていました。東工大には、理工系の大学でありながら、リベラルアーツを重視する伝統があり、理工系教員と文系教員が垣根なく自由に意見を交わす校風があります。

その東工大から、大学の外から様々な専門家を招き、「ちがう未来」を作っていこうというプロジェクトが立ち上がり、参加してほしいとお声がけいただきました。DLabの掲げる「30年から50年先の未来像の創出」という目標は、私の専門領域であるSDGs(2015年国連サミットで採択された持続可能な開発目標)とも重なり合います。東工大OBとして、SDGsの専門家として、私はこのプロジェクトに参加することにしました。

私が専門としているSDGsの観点からすると、「持続可能性」を突き詰める、ということが重要です。つまり、新しいもの、新しい産業をただ作り出すだけではなく、どう使うか、どうリサイクルするか、どう無駄を省くか、どう環境に負荷を与えないか、ということを考えねばなりません。

例えば、現在、微小なマイクロプラスチックによる海洋汚染が深刻化しています。となれば、この問題における未来のデザインにおいては、従来のプラスチックに変わる生分解性の素材開発、あるいはプラスチックそのものの使用を減らす仕組みの開発などが問われるようになる。当然、その開発においては科学技術が要となります。ますます東工大のような理工系の知の拠点の存在が重要になるわけです。DLabでも、ぜひ科学技術をテコにした未来を示してほしい、と思います。

人口が増大し続ければ、当然資源は枯渇します。環境汚染も広がる恐れがあり、生物多様性など自然も脅かされます。だからこそ、持続可能な未来を私たちは模索しなければなりません。ただし、一方では、決して窮屈にならない、誰もが幸せだなと感じられるような未来を志向しなければなりません。両方実現するのはとてもハードルが高い。そこで必要となるのが若い人たちの自由な、枠にとらわれない発想です。DLabにも、若い人たちの自由奔放なアイデアと未来の絵図を組み込んでほしいですね。そして、他の大学では絶対にできない、東工大ならではの「科学」と「技術」に立脚した未来像を提示してほしいと考えています。

プロフィール

1994年慶應義塾大学 総合政策学部卒業、2000年慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科 後期博士課程単位取得退学、2001年慶應義塾大学 博士学位取得。2003年東京工業大学 大学院社会理工学研究科 助教授、2007年同准教授を経て、2015年より現職。