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第5回

未来年表は、ベータ版を作り続けよう

根本 かおりさん(Team Imagine所属)株式会社博報堂 ブランド・イノベーションデザイン局 ストラテジックプランニングディレクター

収録日:2019.03.06

DLabは、メンバーの雰囲気がとってもいいですね。何より、東工大の先生方が情熱的で生き生きとしていて、次から次へとアイデアを出してくれる。しかも、理工系の先生とリベラルアーツの先生がいらっしゃるので、私のような根っからの文系人間も、うまく混ざることができました。

個人的に感動したのはプレワークショップで出会った「えんたくん」ですね。ダンボール製の円卓を4人の膝の上に乗せて、あれこれおしゃべりしながらブレインストーミングをやる。ものすごくクリエイティブです。生身の人間がくっついて話して考えるからいいアイデアが出る。「下部構造の設計」が「上部構造=思想や思考」の質をあげることを実感しました。

大学や行政のイベントはやっておしまい、という側面がしばしばあるのですが、2018年10月に開催されたキックオフイベントはそうではありませんでした。理工系の先生方がそれぞれの立場の刺激的な未来像を発表し、参加者たちは4人組のグループに分かれて「えんたくん」を使いながら、自分の考える「未来」を文字やイラストに落とし込んでいく。入念な準備をされたんだろうなと思いました。

さらに良かったのは、このグループのメンバーが多種多様だったこと。東工大OB・OGの企業経営者層や、バリバリの学者や、現役の大学生や高校生が、上下関係なしのフラットな状態で意見交換をする。高校生や大学生が、全く物怖じせずに自分の意見を披露する。彼らの能力もさることながら、そうさせる「場づくり」の妙がこのイベントにはありました。

DLabに参加して感じたのは、もっともっと産官学のプレーヤーがそれぞれの立場から自由に議論をして、アイデアを社会実装するチャンスを作るべきだな、ということです。私としては、ぜひこのメンバーでオリジナルの未来年表を作りたい。ただし、ひとつ作ったらおしまい、ではなくて、その年表をベータ版として、どんどんバージョンアップしていく。現実も科学技術も日々バージョンアップするのに、未来年表が一旦作り上げたらそこでおしまいであっていいわけがない。それでは、あっという間に未来どころか過去の遺物になってしまいます。そこで、私はキックオフイベントの時のように、若い人たちのアイデアも取り入れた生きた未来をDLabで描きたいと思っています。

プロフィール

一橋大学 社会学部卒業。株式会社博報堂に入社し、広告の現場で自動車、化粧品、家庭用品などの広告マーケティングやブランディングに携わる。ブランド・イノベーションデザイン局では、生活者発想・未来発想に軸足を置いた事業・商品・サービスデザインに従事。