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第7回

バックキャストのアプローチに期待

山口 雄輝さん(Team Create所属)東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系 教授

収録日:2019.05.13

山口教授は、製薬メーカーの注目を集めている創薬の研究者です。生命科学を基盤として、基礎から応用まで幅広く研究を展開しています。良い薬を創ることで、大勢の人を救いたいという夢があり、DLabの活動でも、明るい未来につなげたいと夢を語ります。

私は研究者と同時に教育者でもあるわけですが、東工大の学生だけではなく一般社会に向けて、科学技術のおもしろさを伝えていかなければならないと常々感じています。数十年先がどうなっているかを考えることは、たとえば高校生に向けて、科学技術によって生まれる夢を考えてもらうことにつながるのではないでしょうか。

現在、薬剤の作用メカニズムの解明など創薬につながる生命工学の応用を研究しています。医者になることも考えましたが、一人の人間が救える命の数は限りがある。でも、良い薬を開発すれば、何万人も助けられる。そう考えて、将来は薬を創る研究をしようと道を決めていたのです。そして高校2年生のときに、東工大に新しい学部、生命理工学部の第7類(現在の生命理工学院の前身)ができると知って、それも一期生になれることに運命的なものを感じて志望しました。

いまよく耳にする言葉に「エピジェネティクス」があります。どの細胞も同じ遺伝情報を持っているのに、心臓や肺、肝臓など別々の細胞になれるのは、使う遺伝子と使わない遺伝子に目印をつけているからで、その目印を解明するのがエピジェネティクスです。生命科学の基本的な一分野であるのと同時に、この機能の異常が、がんをはじめとする様々な疾患と関係しているという点で、医学薬学研究で注目されています。つまり、基礎研究と応用研究と両方の側面があるわけです。この研究分野を通じて、子供のころの夢だった人の役に立ちたいという気持ちがよみがえって、徐々に創薬などの応用研究にも力を入れるようになりました。

明るく楽しい未来のためにも、東工大は理工系の総合大学として、ソリューションを提案、提供する存在になっていて欲しいと思います。科学技術は数十年もすると、多くの課題の答えが出てしまって、やることが少なくなってきているかもしれません。人の役に立つような研究をするためにも、やがてDLabが、いろいろな分野の専門家が集まるプラットフォームになっていればと期待しています。

プロフィール

1995年東京工業大学 生命理工学部 生体分子工学科卒業、1997年東京工業大学 大学院生命理工学研究科 修士課程修了、1999年東京工業大学 大学院生命理工学研究科 博士後期課程修了、2002年東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生命情報専攻 助手、2007年同助教、2009年同准教授、2013年同教授、2016年より現職