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第12回

議論の先へいく設計を

桑田 薫さん(Team Create所属)東京工業大学 副学長(研究企画担当)・学長特別補佐

収録日:2019.11.11

桑田副学長は、エレクトロニクス関連企業、シンクタンクを経て、URA(リサーチ・アドミニストレーター)として本学に着任しました。エンジニアとしての経験やマーケティング・マネジメントの経験を活かし、大学の研究を社会実装に結び付けることで、未来の社会を創造する活動を推進しています。

DLabに関しては、副学長として立ち上げ当初からイベントに関わり、強い興味を持って見守っていました。そんな中で折良くバックキャスティングのフェーズに入ってくると、URAの視点で貢献したいという気持ちが湧いてきて、DLab構成員に立候補しました。東工大においてURAが目指す役割とは、単なる研究支援だけでなく、研究成果の市場性や経済効果などを含めて貢献シナリオを書き、教員の研究を世に送り出す全体をプロデュースすること。戦略的な志向で、研究構想時からいろいろな情報を提供する研究のパートナーであることが理想です。ではDLabにおいてのURAはどうでしょうか。私が以前、普及学を研究していた際に、社会とどう繋がるのか、市場をつくっていくためにはどうするのかということを追求していたのですが、その視点がまさにDLabにおいてのURAの役割だと思いました。せっかく描いた未来を塩漬けにしないためには、構成する未来の市場を設計し、実現の活動に繋げなければなりません。バックキャスティングするにあたって、今までTeam Imagineが描き出した宝の山である未来像を科学技術的な構成で分解しているだけでは、ありたい未来が単なる技術的なロードマップになってしまいます。DLabの活動が技術ロードマップを作ることに留まらないよう、バックキャスティングをもっと人文・社会科学的な視点でアプローチできればと思っています。例えば、社会のシステムができあがるためには、技術的システム基盤の様な視点だけでなく、社会規範を考え、同時に、社会のみなさんがワクワクしながら新たなシステムを受け入れるような仕掛けが必要です。そこを解き明かしてバックキャスティングしていきたいと考えています。実際にDLabに参加した今、私の立場から積極的に取り組みたいことは、未来社会の構成を科学技術、人文・社会科学の視点でバックキャスティングし、その構成ピースを埋める未来社会創造の活動に繋げるフレームワークを作ることです。カリスマリーダーがやるから成功するのではなく、誰がやっても同じ様に良いものが作れるフレームワークにし、それを東工大メソッドとしてプロモーションしていきたいと考えています。バックキャスティングの手法を確立し、事例をつみあげ、アクティビティへ。その中で未達なものを研究要素にフィードバックすれば、未来創りに足りないものをまた生み出すことができる。DLab発のメソッドで、私たちが描く豊かな未来社会へ、一歩ずつ近づいていけると考えています。

プロフィール

1981年日本女子大学 家政学部 家政理学科一部卒業、1994年法政大学 大学院社会科学研究科 修士課程 修了、1998年法政大学 大学院社会科学研究科 経営学専攻 博士後期課程 単位取得退学、1981年日本電気株式会社、2003年NECエレクトロニクス株式会社、2008年技術研究組合 超先端電子技術開発機構(ASET) 研究員、2010年ルネサス エレクトロニクス株式会社、2011年一般社団法人 半導体産業研究所 客員研究員、2016年東京工業大学 フロンティア研究機構 特任教授(URA)、東京工業大学 科学技術創成研究院 特任教授(URA)、2018年より現職。